天富命(あめのとみのみこと)が阿波(あわ=現在の徳島県)の忌部一族(いんべいちぞく=古代朝廷における祭祀を担った氏族)を率いて南房総に上陸、安房(あわ)を開いたという伝説がありますが、天富命が上陸したと伝わる地が、館山市布良(めら)の阿由戸の浜。布良の里人達は、天富命の徳を慕い、祭神として建立したのが布良崎神社とか。
安房を開拓した天富命が上陸した地との伝承も
忌部一族は、この地を拠点に安房開発をスタートさせ、安房忌部の居る所を安房の郡(あわのこおり)、良い麻が育つ所を総の国(ふさのくに)と名付けたと伝わっています。
忌部一族の伝承は、歴史的な裏付けはありませんが、この地が早くに拓けた地で、布良崎一帯がパワースポットであることには変わりがありません。
一の鳥居と二の鳥居の見通し線上に富士山を眺望し、5月下旬と8月上旬には富士山頂に太陽が沈むダイヤモンド富士となります。
立派な玉石垣は大正天皇の即位を記念して大正4年に奉納。
玉石は漁師が出漁の際に、伊豆から少しずつ漁船にのせて運び、三州屋が石積みしたもの。
江戸時代には江戸の商人にも尊崇された!
現在の社殿は明治41年の再建。
二の鳥居横の1865(元治2)年奉納の石灯籠には、「江戸の台所」として栄えた江戸日本橋蔵屋敷の米屋久七ほか16名の願主と奉納者の名があり、布良崎神社の信者は江戸までいたことがわかります。
幕末には鏡ヶ浦(館山湾)と江戸の魚河岸との間は、押送船(おしょくりぶね=葛飾北斎『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』に描かれた船)で鮮魚を一昼夜で運ぶ流通ルートが確立されていたのです。
女坂上り口の磐座(いわくら)は古代の祭祀跡。
忌部氏による創建と伝わる安房国一之宮の安房神社の前身ともいわれている聖地です。
ちなみに布良という地名も阿波の国で栽培していた穀物や麻を植えてみると良く育ったため名付けた地名だとか(海草が繁茂する浦、あるいは伊豆の妻良あるいは紀州の目良からの移住者が住む村の意とも)。
布良海岸は、反町隆史と竹野内豊が主演したテレビドラマ『ビーチボーイズ』(フジテレビ系)のロケ地。
民宿「ダイヤモンドヘッド」はこの海岸に建っていました。
白浜同様、一帯は隆起が続いており、縄文海進の際の海蝕洞窟が標高23.5mに位置しています。
また、背後の山が、天富命が天太玉命(あめのふとだまのみこと)を祀った男神山(おがみやま)、天比理乃咩命(あめのひりのめのみこと)を祀った女神山(めがみやま)です。灯台の建つのが男神山です。
布良崎神社 | |
名称 | 布良崎神社/めらさきじんじゃ |
所在地 | 千葉県館山市布良379 |
ドライブで | 富津館山道路富浦ICから約17km |
駐車場 | 3台/無料 |
問い合わせ | 館山市観光協会 TEL:0470-22-2000 |
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