鯛の浦(鯛の浦遊歩道)

鴨川市の内浦湾内にあり、日蓮が訪れた際、海に向かってお題目を書くと、多数の鯛が集まって、そのお題目を食べつくしたという伝説が残る海が鯛ノ浦(妙ノ浦)。それ以来、鯛はこの地で「日蓮聖人の分身」として、殺生禁断で保護されてきたのです。鯛の浦タイ生息地の名称で、国の特別天然記念物に指定されています。

遊歩道を600mほど歩くと、日蓮生誕の地、蓮華ヶ淵が!

遊歩道から小湊方面を振り返る
皇后陛下のお詠歌の碑

本来マダイは、深海性で群れをなさない習性ですが、鯛の浦のマダイは、水深10から20mほどのところで群をなしているという不思議な特性があり、国の特別天然記念物にも指定。

特別天然記念物に指定されるのは、鯛の浦周辺の陸と海、200ha。海域内では釣りなどの遊漁も禁止されています。まさに魚の聖域。
鯛が泳ぎ、集る様子は鯛の浦遊覧船に乗船するのが早道ですが、平成22年には鯛の浦の海岸沿いに入道ヶ岬方面へと続く遊歩道も整備されているので、散策もおすすめです。

小湊漁港と休憩所を結ぶ610mの鯛の浦遊歩道で、小弁天島を眼前にする休憩所からは小弁天島、大弁天島を眺望。昭和48年に昭和天皇・皇后両陛下が行幸啓された際の記念碑(皇后陛下のお詠歌の碑「波の間に 姿を見せつつ 鯛のむれ ふなべにあつまり あまたよりくる」)も立っています。

小弁天・大弁天一帯の入江が蓮華ヶ淵で、海岸の砂はとりわけ輝きが美しく俗に「五色砂」と呼ばれています。

休憩所からは小弁天島が目の前に
左が小弁天島、右が大弁天島
日蓮の「三奇瑞」
日蓮は、1222(貞応元)年2月16日に小湊の漁師の家に生誕。鯛の浦遊歩道沿いにある蓮華ヶ淵は、日蓮聖人誕生時の「三奇瑞」(さんきずい)のひとつ。家の庭先から突然清水が湧き(誕生水)、庭前の海上には蓮華の花が咲きほこり(蓮華ヶ淵)、さらに海中に大鯛・小鯛が無数に群れ集う(妙の浦=鯛の浦)という3つの奇跡が「三奇瑞」です。

庭の前が蓮華ヶ淵ならば、日蓮聖人の生家は何処?となりますが、残念ながら明応・元禄の大地震により海中に没してしまっています。
日蓮誕生の地は、「安房国長狭郡東条郷片海」とされています。片海という地名は元禄以降は史料にもなく、それが海に没した裏付けにも
なっているのです。現在の大弁天島・小弁天島の一帯が往時の片海ではないかと推測されています。

広重の浮世絵に見る 小湊&鯛の浦

歌川広重(初代)の『六十余州名所図会 安房小湊内浦』。1853(嘉永6)年の刊。
広重は、出版される前年の1852(嘉永5)年春に房総旅行をしていますが、その時に原画(スケッチ)を描いたのだと推測できます。
清澄山に向かうために通った天津側の峠道から望んだもの。大きく見える屋根は誕生寺。

描かれた当時の小湊浦は、日本海の出羽国酒田(現・山形県酒田市)から津軽海峡、三陸沖、鹿島灘、房総半島を経て江戸に至る東廻り航路の避難港。幕府は那珂湊、銚子浦、小湊浦(内浦湾)に番所を設け、浦役人を配置して廻船の援助と監視にあたらせていました。

当時の記録では、湊口の幅は70間(約126m)、深さ4尋(約7m/尋=ひろ)、南西風で入港し北風で出港するのがよいとされています。

歌川広重『六十余州名所図会 安房小湊内浦』
 

鯛の浦(鯛の浦遊歩道)
名称 鯛の浦(鯛の浦遊歩道)/たいのうら(たいのうらゆうほどう)
所在地 千葉県鴨川市小湊地先
電車・バスで JR安房小湊駅から鴨川日東バス上総興津駅行き、行川アイランド行きで3分、誕生寺入口下車、徒歩5分
ドライブで 首都圏中央連絡自動車道木更津東ICから約45km。または、館山自動車道君津ICから約45.5km
駐車場 市営小湊駐車場(150台/有料、8:00〜16:00)
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

 

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