虎ノ門金刀比羅宮

ビルが林立し、官庁街にも近くホテルオークラ東京も建つ東京の一等地に鎮座するのが虎ノ門金刀比羅宮。土地の有効利用もあって境内には虎ノ門琴平タワーも建ち、タワーの下を歩いて参拝というルートも。実は、虎ノ門は江戸時代、江戸城の南端(現在の虎ノ門交差点)にあった門の名前。この地には丸亀藩江戸上屋敷がありました。
 

丸亀藩江戸上屋敷に祀られた金毘羅大権現がルーツ

 

丸亀藩上屋敷内にあった1821(文政4)年奉納の銅鳥居(明神型鳥居)と昭和26年再建の拝殿
丸亀藩上屋敷内にあった1821(文政4)年奉納の銅鳥居(明神型鳥居)と昭和26年再建の拝殿

虎ノ門交差点に近い虎ノ門1丁目には武家屋敷がありました。虎ノ門金刀比羅宮が鎮座する一帯は、四国の丸亀藩江戸上屋敷。四国を旅したことがある人は、もうピンときたかましれません。この社、1660(万治3)年、讃岐丸亀藩の藩主・京極高和(きょうごくたかかず)が三田の江戸藩邸に金毘羅大権現(江戸時代には神仏混淆で、不動明王を本地仏とする権現でした)を勧請したことに始まります。

1679(延宝7)年、大名庭園万象園(現在の中津万象園)を築いた2代丸亀藩主・京極高豊が、虎ノ門近くに江戸上屋敷を移転させたのに伴って現在地に遷座しました。

参拝を願う江戸の庶民に応え、毎月10日には邸内を開いて参拝させたところ、江戸時代後期には三田にあった久留米藩上屋敷内の水天宮(安産祈願)に継ぐ人気を誇りました。
金毘羅さんの縁日が毎月10日なのは、この邸内開放日に由来するのだとか。

銅鳥居に配された四神。北を守る玄武(亀蛇)
銅鳥居に配された四神。北を守る玄武(亀蛇)
西は白虎が守護していますが虎ノ門の名も西(白虎)に由来
西は白虎が守護していますが虎ノ門の名も西(白虎)に由来

明治の神仏分離・廃仏毀釈で金刀比羅宮に

明治2年、神仏分離、廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)で事比羅神社に、さらに明治22年、金刀比羅宮となっています。
主祭神は神仏習合時代から祀られる大物主神、崇徳天皇。1163(長寛元)年、崇徳天皇が讃岐の象頭山松尾寺金光院に参籠したことから金光院に合祀されたことに由来します。

現存する権現造りの拝殿・幣殿は、戦災で焼失後の昭和26年の再建ですが都選定歴史的建造物に選定されています。監修したのは平安神宮、大倉集古館、築地本願寺、湯島聖堂などを手掛けた伊東忠太。

国道1号(桜田通り/東海道)に面して正面鳥居が立ちますが、通りからは境内にそびえ立つ琴平タワーが印象的。社務所もこの琴平タワーの一画にあるのです。

虎ノ門金刀比羅宮
虎ノ門金刀比羅宮
京極高和
1637(寛永14)年、松江26万石の藩主だった伯父・京極忠高が嫡子を残さずに没する直前、忠高の養子となりましたが、松江藩を継ぐことができずに播磨龍野藩6万石へと減封。1658(万治元)年、8歳で死去し改易となった丸亀藩主・山崎治頼の後を受けて讃岐丸亀藩6万石に移封。丸亀城の天守を完成させるとともに、金毘羅大権現を江戸三田の藩邸に勧請しています。

京極高和

虎ノ門金刀比羅宮のおもな年中行事

1月1日/歳旦祭=年神様に感謝し、来る1年間の安寧を願う行事
1月4日/梯子乗り奉納=一般社団法人江戸消防記念会第二區道具中梯子乗り奉納
1月9日/初こんぴら前日祭=毎月10日が縁日ですが、1月10日は『初こんぴら』。その前日祭です
1月10日/初こんぴら祭=神楽殿で里神楽奉納、参道では七福神行列で露店も並びます
2月3日/節分追儺祭=神楽殿で神職が福豆を撒きます。追儺(ついな)とは、儺(おにやらい)のこと。大晦日の夜、悪鬼を祓い、厄災を除いて、新年を迎える宮中の年中行事です。旧暦で立春が正月なら、節分は大晦日にあたります
2月11日/紀元祭=神武天皇が初代天皇として即位されとされる日
2月20日/祈年祭(としごいのまつり)=「とし」は稲の稔りの意味で、春の初めに、その年の五穀豊穣、産業の発展を祈念します。末社・喜代住稲荷神社の大祭の斎行されます
6月30日/夏越の大祓式=年越の大祓以来の半年間、知らず知らずのうちに積もった罪と穢(けがれ)を人形(ひとがた)に託して祓い清めます。大祓の人形の受付は6月1日から
10月09日/大祭前日祭=もっとも重要な例祭の前日です
10月10日/大祭=舞姫が浦安の舞を奉納、神楽奉納やおかめひょっとこの行列もあり、露店が並びます
11月23日/新嘗祭=2月20日の祈年祭と対を成し、その年の収穫に感謝する祭典です
12月30日/年越し大祓式・鎮火祭・除夜祭=夏越(なごし)の大祓以来の半年間、知らず知らずのうちに積もった罪と穢(けがれ)を人形(ひとがた)に託して祓い清めます。大祓の人形の受付は12月1日から

1月10日の『初こんぴら祭』は大祭同様の賑わいで、七福神行列も
1月10日の『初こんぴら祭』は大祭同様の賑わいで、七福神行列も
 

虎ノ門金刀比羅宮 DATA

名称 虎ノ門金刀比羅宮/とらのもんことひらぐう
所在地 東京都港区虎ノ門1−2−7
関連HP 虎ノ門金刀比羅宮公式ホームページ
電車・バスで 東京メトロ銀座線虎ノ門駅から徒歩1分。東京メトロ丸ノ内線・日比谷線・千代田線霞ヶ関駅から徒歩5分
駐車場 周辺の有料駐車場を利用
問い合わせ TEL:03-3501-9355/FAX:03-3593-2839
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

 

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