1617(元和3)年、京・龍谷山本願寺(西本願寺)の別院として建てられた、浄土宗本願寺派本願寺築地別院。当初は浅草の横山町にありましたが、明暦の大火(「振り袖大火」)で焼失。その後、現在地に再建されています。往時の建物は再び関東大震災で崩壊し、現在の古代インド様式の建物は二度目の再建。
昭和9年築の古代インド様式の建物は国の重要文化財
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現在の築地本願寺本堂の威風堂々たる建物は、寺院建築を多く手がけている東京帝国大学工学部教授・伊東忠太の設計で、古代インド仏教建築様式を採用した鉄筋コンクリート造り。
花崗岩を使った建物中央の本堂は、上部に銅板で葺いた巨大な円形屋根がのっています。左右対称の両翼には鐘楼と鼓楼の塔屋を配し、正面中央と左右の入口には独特の曲線による破風(はふ)の向拝(こうはい=屋根の中央が前方に張り出した部分)が設けられた外観となっています。本堂上部の丸い部分は菩提樹の葉をモチーフにしているのだとか。中央に描かれているのは仏教のシンボルの花でもある蓮の花です。
昭和9年の完成で周囲の大谷石積塀、正門、北門、南門とともに国の重要文化財。
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内陣より参詣者の集う外陣が広いのは、開かれた浄土真宗ならでは
外観は古代インド様式の建物ですが、内部は伝統的な浄土真宗寺院の本堂形式。全体として調和のある外観が生み出されています。
さらには当時の最新式の設備を備えるなど、近代の設計技術を駆使した伊東忠太による寺院建築の代表作であり、傑作です。
ちなみに、本尊の阿弥陀如来が安置されている内陣(ないじん)より、参拝スペースの外陣(げじん)が広いのは、庶民に開かれた浄土真宗ならではの寺院様式。寺は人々が集まる道場という考えからです。
設計した建築家・伊東忠太氏は、『怪奇図案集』を出すほど妖怪好きだったので、獅子や鳳凰など様々な幻獣装飾を施しています。
本尊の阿弥陀如来立像は、聖徳太子の手彫りとの伝承がある貴重なもの。
本堂の拝観も可能で、パイプオルガンは必見。また毎月最終金曜日には、『パイプオルガンランチタイムコンサート』も開催されています。時間は12:20〜12:50で、入場無料。
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築地本願寺のおもな年中行事
1月1日=元旦会〈がんたんえ=修正会)/新年を迎える法要
3月下旬(春分の日を中心とした1週間)/お彼岸(浄土)のことを思いながら聞法(もんぼう)する法要
4月上旬=灌仏会/釈迦の誕生を祝する法要。稚児行列や境内でのステージ企画などが行なわれます
5月21日=宗祖降誕会/宗祖・親鸞聖人の誕生祝賀法要
7月13日〜16日=盂蘭盆会(うらぼんえ)/旧盂蘭盆会は8月13日~16日
8月上旬=盆踊り/境内に櫓を組み、大江戸助六太鼓の演舞などもある行事で、「中央区夜景八選」に選定
9月下旬(秋分の日を中心とした1週間)/お彼岸(浄土)のことを思いながら聞法(もんぼう)する法要
11月11日〜16日=報恩講/親鸞聖人の祥月命日法要。浄土真宗では最も大切な法要で、本山である西本願寺では1月9日~16日に『御正忌報恩講(ごしょうきほうおんこう)』が営まれます(親鸞聖人の命日=1月16日)
12月31日=除夜会/除夜の法要で、除夜の鐘を撞くことができます(整理券が配布されます)
江戸切絵図に見る築地本願寺
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築地本願寺 | |
名称 | 築地本願寺/つきじほんがんじ |
所在地 | 東京都中央区築地3-15-1 |
関連HP | 築地本願寺公式ホームページ |
電車・バスで | 東京メトロ日比谷線築地駅から徒歩2分 |
ドライブで | 首都高速銀座ランプから約600m |
駐車場 | 90台/無料 |
問い合わせ | 築地本願寺 TEL:03-3541-1131/FAX:03-3541-7071 |
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |