東京都文京区にある小石川植物園。正式名は東京大学大学院理学系研究科附属植物園で、植物学の研究・教育を目的とする東京大学の教育実習施設です。その前身は、江戸時代初期の貞享元年(1684年)、白山台地にあった第5代将軍・徳川綱吉の別邸・小石川御殿(白山御殿)に造られた小石川御薬園。国の名勝及び史跡にもなっています。
江戸時代の御薬園、養生所が明治時代に日本最初の植物園に
もともと、この土地は、白山神社、さらに綱吉の別邸小石川御殿(白山御殿)があった場所。
舘林藩主・松平徳松の別邸(居邸は神田橋御門内にあった上屋敷「神田御殿」)で、松平徳松は5代将軍・徳川綱吉となり、南麻布の南薬園を廃止し、小石川御殿(白山御殿)の敷地の一部を新たに小石川御薬園として、幕府の薬園としたのです。
8代将軍・徳川吉宗の時代には、敷地もほぼ今くらいに拡張され、享保7年12月(1723年1月)時代劇にも登場の小石川養生所(施療院)も建てられ、園内ほぼ中央にはその井戸も残されています。
享保20年(1735年)には飢饉対策の一環として青木昆陽(あおきこんよう)によるサツマイモ(甘藷)の試作も行なわれています。
明治10年4月12日の東京大学開設時に、東大の付属施設となり、植物園として一般開放。
つまり、日本でもっとも古い植物園がこの小石川植物園なのです。
16万平方メートルにおよぶ広大な敷地は、台地、傾斜地、低地、泉水地と起伏に富んだ地形を巧みに利用し、3000種の植物を配置するほか、1100種の熱帯・亜熱帯の植物を栽培する温室など、約4000種類の野生植物を栽培。
植物園本館には植物標本約70万点(植物標本は、東京大学総合研究博物館と一体に運営されており、全体で約170万点)、植物学関連図書約2万冊を収蔵。
研究機関としても一流なのです。
都心にありながら四季の移ろいが楽しめる!
Newtonの生家にあったリンゴの木は、接ぎ木により各国の科学機関に分譲されていますが、この小石川植物園にも「ニュートンのリンゴ」として植栽されています。
菩提樹の巨木並木などもあって、夏も涼しい環境です。
ツバキ園、ツツジ園、梅林、サクラやイチョウ、イロハモミジ並木、日本庭園でみられるウメやハナショウブなどと、都心にありながら四季の移ろいが楽しめる場所になっています。
園内にはほかに、本郷キャンパスから移築復元された「旧東京医学校本館」も一般公開。
明治9年の築造で、国の重要文化財にも指定されています。
塔屋を載せたレトロな木造の擬洋風建築が往時をしのばせますが、現在は「東京大学総合研究博物館小石川分館」として使用され、学校建築に関する資料などを展示しています。
小石川植物園は、公園ではなく、あくまで学術研究の場所。
採取ができないのはもちろんですが、喫煙、飲酒も不可です。
ただし、弁当などの持ち込みは可能(食事は可能)。
なお、栃木県日光市には、明治35年に開設の「日光分園」があり、東京では栽培の難しい山地植物に関する研究・教育が行なわれています(冬季休園)。
江戸における白山信仰の中心社として栄えました。
5代将軍・徳川綱吉は、舘林藩主時代に、白山神社を現在地に遷し、その跡地に小石川御殿(白山御殿)を造営したのです。
千川上水を引き込み、起伏に飛んだ土地に堀を巡らせた御殿は景勝の地であったといわれています。
綱吉の死後、御殿は廃止され小石川植物園の前身となる小石川薬園が置かれています。
小石川植物園 DATA
名称 | 小石川植物園/こいしかわしょくぶつえん |
所在地 | 東京都文京区白山3-7-1 |
関連HP | 小石川植物園公式ホームページ |
電車・バスで | 都営地下鉄三田線白山駅から徒歩10分、東京メトロ丸の内線茗荷谷駅から徒歩15分 |
ドライブで | 首都高速護国寺ランプから約3.5km |
駐車場 | なし |
問い合わせ | TEL:03-3814-0138/FAX:03-3814-0139 |
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