三浦半島の観音崎(神奈川県横須賀市)と房総半島の富津岬(千葉県富津市)を結んだ線以北が東京湾。
かつて、その東京湾の入口に道路を造ろうという壮大な計画が存在しました。富津市で見つけたマンホールはそんな計画の名残です。
描かれるのは東京湾をまたぐ橋と富士山
富津市のマンホールに描かれた絵柄は東京湾口道路(とうきょうわんこうどうろ)。
首都圏を環状に結ぶ国道16号は、富津市富津字東町1503-1から横須賀市走水2丁目1069-1の間、つまりは東京湾の海上が未開通になっています。
ほぼ同区間に東京湾フェリーが通っていますが、なぜか海上国道の扱いにはなっていません。
富津市はその促進に熱心で、2014年まで、毎年夏に行なわれてきた『富津花火大会』は、東京湾口道路建設促進の一環として行なわれていました。
富津市の財政悪化で『富津花火大会』は、2015年から民間主体の『富津市民花火大会』に変身しています。
東京湾口道路も自然消滅のプランになりつつある!
富津市によれば、「橋梁案またはトンネル案にて検討中」とのこと。
昭和37年に調査が開始された「夢の架け橋」ですが、高度経済成長時代の遺物でもあり、国土交通省も現在では「長期的視点から取り組む」とトーンダウンしています。
実際には、新幹線や橋の完成により、流入よりも流出が多くなり、過疎化が進む傾向もあります。
たとえば、東京湾アクアラインの開通で、木更津駅周辺はさらに経済が沈滞した感じがします。
東京湾フェリーの40分の船旅があるからこそ、南房総へのドライブが変化に富むという側面も、道路の開通では失われてしまいます。
現在では、東京湾口道路の開通を願うより、東京湾フェリーの存続を願う時代に、大きく舵が切られた感じです。