養老渓谷走り抜ける千葉県道81号(市原天津小湊線)。養老渓谷温泉郷から文字通り、隠れ家のような温泉旅館「隠れ湯の宿 川の家」に至る途中にあるトンネルが向山トンネル(むかいやまとんねる)。実はこのトンネル世にも不思議な「2階建てトンネル」。下段は素掘りながらコンクリートの塗装があるものの、上段は素掘りがそのままに現存。
SNSで有名になった「2階建てトンネル」誕生の理由は!?
向山トンネルは、全長115mで、幅員は往時の馬車道幅なので、トンネル内でのすれ違いは不可(幅員4.3m、高さ3.4m〜3.6m)。
千葉県道81号(市原天津小湊線)側から分岐してアプローチすると、入口はごく普通のトンネルが現れますが、内部に入ると様相が一変。
しかもトンネルなかほどで、トンネルの上部に明り取りのように、もうひとつのトンネルが現れます。
そしてトンネルはそのまま下り坂となって、温泉旅館「隠れ湯の宿 川の家」側(西側)の出口へ。
実はかつては普通の素掘りのトンネルで、西側の出口は上部のトンネルが使われていました。
昭和45年3月、接続する道路への利便性をよくするため道路改良が行なわれ、新たに掘り下げて西側の出口が設けられたのです。
このときそれまでのトンネルを埋め戻さなかったので、トンネルがダブルで重なる「2段トンネル」が生まれたというわけなのです。
大多喜町役場の話では東側92mが向山トンネル、残りの23m、つまりは西側部分が共栄トンネルとなっているそうです(トンネルを出た先、養老川に架かる橋も共栄橋です)。
とすると、新しく掘り下げられた部分が共栄トンネルということになるのですが、詳しい経緯は、役場も、地元の人も「よくわからない」とのこと。
見ることはできませんが、上部のトンネルには戦争中に掘られた横穴(防空壕)が3ヶ所空いているそうです。
このトンネルを抜け、狭い車道をさらに進むと小田代素掘りトンネルが2ヶ所連続しますが、バイク、軽四輪でないと少し走破は難しいほどの隘路(あいろ)。
また近くには川廻しの隧道跡である弘文洞跡もあるので時間があれば寄り道を。
ご注意/トンネル下段が画像で緑色に見えるのは、蛍光灯の波長(色温度)の関係で、実際には緑ではありません。
向山トンネル DATA
名称 | 向山トンネル/むかいやまとんねる |
所在地 | 千葉県夷隅郡大多喜町葛藤176 |
関連HP | 大多喜町公式ホームページ |
電車・バスで | 小湊鐵道養老渓谷駅から徒歩30分 |
ドライブで | 圏央道市原舞鶴ICから約17km |
問い合わせ | 大多喜町産業振興課商工観光係 TEL:0470-82-2176 養老渓谷駅前観光案内所 TEL:0436-96-0055 |
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