東京都江東区の夢の島公園内にある東京都立第五福竜丸展示館。ビキニ環礁での水爆実験で死の灰を浴びた遠洋マグロ漁船「第五福竜丸」(140.86t、全長28.56m)を保存展示する施設です。昭和29年3月1日にビキニ環礁(マーシャル諸島共和国)にあった太平洋核実験場での米軍の水爆実験「キャッスル作戦」で被爆した漁船です。
水爆実験の死の灰が出漁中の第五福竜丸に降り注いだ!
第五福竜丸は、昭和22年、和歌山県東牟婁郡古座町(現・串本町)でカツオ漁船「第七事代丸」(だいななことしろまる)として進水。
静岡県焼津市でマグロ漁船に改造され、「第五福竜丸」として太平洋上でのマグロ漁に出漁していました。
アメリカは第二次大戦後の昭和21年〜昭和33年にかけて核開発の途中、ビキニ環礁で23回にわたる核実験を行なっています。
昭和29年3月〜5月に行なわれたキャッスル作戦(Operation Castle)のうち、3月1日のブラボー実験(Castle Bravo)では広島型原子爆弾約1000個分の爆発力(15Mt)の水素爆弾が炸裂。
核出力の見積りを誤ったため、危険水域の設定が不十分となり、第五福竜丸に放射性降下物(いわゆる死の灰)が降り注ぎました。
3月14日に焼津港に帰還しますが、無線長だった久保山愛吉(くぼやまあいきち)さんが「原水爆の犠牲者は、わたしを最後にしてほしい」の言葉を残し9月23日に死亡するという悲惨な事件となりました。
被爆した第五福竜丸は、文部省が買い上げて、8月に東京水産大学(現・東京海洋大学)の品川岸壁に移され、さらに改造されて東京水産大学の練習船「はやぶさ丸」(母港は千葉県館山港)へと転身します。
数奇な運命を辿りながら、夢の島で非核平和のシンボルとして保存
昭和42年に廃船となって、夢の島に隣する第十五号埋立地にゴミ捨て場に廃棄されますが、東京都職員らが発見し、日本各地で保存活動が行なわれ、昭和51年6月10日に東京都立第五福竜丸展示館が開館しました。
館内には第五福竜丸船体、乗組員の手記、乗組員が使っていた日用品などが展示されています。
エンジン部分は廃船時に船体から切り離されて貨物船「第三千代川丸」に搭載され、その後、「第三千代川丸」が三重県熊野灘沖で座礁、沈没したことにより、回収不可能と思われていましたが、平成8年、「第五福竜丸エンジンを東京・夢の島へ」和歌山県民・東京都民運動によって引き揚げられ、第五福竜丸展示館の脇「展示館前ひろば」に展示されています。
ちなみに原水爆の実験場となっていたビキニ環礁は、「珊瑚礁の海に沈んだ船やブラボー水爆の巨大なクレーターなど、核実験の証拠を保持している。繰り返された核実験はビキニ環礁の地質、自然、人々の健康に重大な影響を与えており、平和と地上の楽園とは矛盾したイメージをもち核時代の夜明けを象徴している」ということで、世界文化遺産に登録されています。
第五福竜丸展示館 DATA
名称 | 第五福竜丸展示館/だいごふくりゅうまるてんじかん Daigo Fukuryu Maru Exhibition Hall |
所在地 | 東京都江東区夢の島2-1-1 |
関連HP | 第五福竜丸展示館公式ホームページ |
電車・バスで | JR京葉線・東京メトロ有楽町線・臨海副都心線新木場駅から徒歩5分 |
ドライブで | 首都高速新木場ランプから約1.3km |
駐車場 | 夢の島公園第1駐車場(68台)・第2駐車場(17台)/有料 |
問い合わせ | TEL:03-3521-8494 |
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |