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重要文化財 三越日本橋本店

「我が国における百貨店建築の発展を象徴するものとして価値が高い」(意匠的に優秀なもの・歴史的価値の高いもの)として国の重要文化財となっているのが三越日本橋本店。百貨店で初の重文指定である日本橋高島屋とともに、日本橋には2つの「重文デパート」があり、ショッピング途中に館内見学も楽しめます。

天女が舞うホール、アール・デコの特別食堂は必見!

ライトアップされた夜も素敵!

「今日は帝劇、明日は三越」は大正2年、帝国劇場のパンフレットに出した広告のキャッチコピー。
翌大正3年10月1日に、三越呉服店(三越日本橋本店)は、ルネッサンス様式の新館をオープンさせます。

鉄筋地上5階、地下1階建てで当時国内最大の建築物で、「スエズ運河以東最大の建築」と称され、日本初のエスカレーターと、エレベーター、スプリンクラー、全館暖房、そして食品売場を取り入れています。
「食料品部に於きましては主として舶来の菓子、缶詰類、洋酒等を販売致しますので、同時に従来の食器部が著しく拡張され、其販売品の種類が多くなり、内容は高上さるゝのでございます。食料品は主として舶来品を取扱ひまするが、日本品も其品質の優良なるものは勿論盛んに販売しまする」(雑誌『三越』大正3年9月号)
食料品売場に置かれた品は、アロールート(arrowroot)、コーンスターチ、アスパラガス、ベーキングパウダー、豆類。バター、ビスケット、肉類缶詰、ソーセージ。

大正12年8月5日には、日本初のデパートの「バーゲンセール」も開催しています。
この建物は、残念ながら大正12年9月1日の関東大震災で被災し、火災にあうなど大きな被害を受けています。

関東大震災前の三越呉服店/(C)シマウマ-クラブ絵葉書コレクション

アール・デコを基調としたモチーフにも注目

現在の三越日本橋本店は、関東大震災で被災した大正期の建物の鉄骨、床スラブを活かしながら、昭和2年に鉄骨鉄筋コンクリート造り7階建にリニューアルしたもの。三越ホール(現・三越劇場)はこの時、増築された6階部分に設置されたものです。

昭和7年4月29日、東京地下鉄道(現・東京メトロ)「三越前駅」が開業。駅開設にあたっては、三越が建設資金を負担。日本橋本店地下売場と連絡。開業年(昭和7年)の1日平均乗降客数は4534人です。

昭和10年、増築改修が行なわれ、五層吹抜けのパイプオルガンを設置した中央大ホール、人気の「特別食堂」が設置されました。

大正3年以来、設計・建築は、横河工務所。中村伝治が主担当し、設計も一貫していることから、外観はリニューアル時にやや簡略化しつつも西洋古典様式に則った意匠で統一されています(大正3年の新館建築の際には、中村伝治は欧米の百貨店建築の調査に出かけています)。

昭和35年、三越創立50周年を記念して、日本橋本店中央ホールに、佐藤玄々(さとうげんげん)制作『天女像 まごころ』設置。
高さ11m、総重量6750kg。樹齢500年の檜を使い、2年の制作期間をかけてつくられたのが、降臨する天女の姿。鉄骨の基礎を用いた史上最大級の木彫です。
三越の基本理念である「まごころ」をシンボリックに表現する像として「まごころ像」ともいわれ、日本橋三越本店の象徴ともいえる存在になっています(平成12年に修復工事実施)。

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中央ホールと『天女像 まごころ』
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本館6階にある三越劇場
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そびえ立つ高塔(金字塔)もアール・デコ調
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大正3年に正面玄関に置かれたライオン像
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おもな部分の特徴

外観
全体的に古典様式のイメージで構成されていますが、アーチを用いない水平、垂直線を強調した構成や、そびえ立つ高塔(金字塔)のアールデコ風の装飾など新しい様式も巧みに取り入れられています。
昭和10年以降の増築部についても、意匠をやや簡略化しながら、昭和2年建築部の外観と統一感を持たせています。

中央ホール

5層吹抜けの大空間となっていて、天井はステンドグラスをかまぼこ型(ヴォールト状)に配したトップライト。
柱や梁、手摺まわりは大理石張りで、手摺グリルやガラスなどをアールデコ風の装飾で飾っています。

三越劇場
2層吹抜けで東にステージを設けた劇場。
壁面と天井は大理石、木彫、石膏整形やステンドグラスなどにより装飾され、グレーを基調として様々な紋様や幾何学模様をペイント色彩で着色。重厚な雰囲気を醸し出しています。

特別食堂・休憩室
フランスの室内装飾家の第一人者、ルネ・プルー(Rene Prou/1889年~1947年)によるアール・デコ(Art Déco)で装飾。ルネ・プルーは、ドアや壁の装飾、換気口の金物装飾までオリジナルで制作。緑色大理石の丸柱や柱頭部の持送り、壁面のグリルなど当時のアール・デコの潮流がわかります。
現在、7階の「特別食堂 日本橋」は東京會舘が運営。和食、洋食だけでなく、喫茶のみの利用もOKです。

[aside type=”normal”] アール・デコ/Art Déco
1920年代から1930年代にかけてヨーロッパを中心に世界中で流行した装飾様式。日本に伝えられた当時、工芸品から商業デザイン、日用品にいたるまで、アール・デコの意匠が使われ、当時そうした先進的なデザインは「モダン」と称されました。
地下鉄三越前駅の連絡通路にもルネ・プルーが手がけたデザインを今でも見ることができます。 [/aside]
アール・デコの装飾が見事な「特別食堂」
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昭和7年当時の特別食堂喫煙室
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昭和7年当時の東京地下鉄道三越前駅連絡通路
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重要文化財 三越日本橋本店
名称 重要文化財 三越日本橋本店/じゅうようぶんかざい みつこしにほんばしほんてん
所在地 東京都中央区日本橋室町1-4-1
関連HP 三越日本橋本店公式ホームページ
電車・バスで 東京メトロ銀座線・半蔵門線三越前駅、JR新日本橋駅からすぐ。JR東京駅・神田駅から徒歩10分
駐車場 あり/買い物の金額に応じたサービスあり
問い合わせ 三越日本橋本店 TEL:03-3241-3311
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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作成者: プレスマンユニオン編集部

日本全国を駆け巡るプレスマンユニオン編集部。I did it,and you can tooを合い言葉に、皆さんの代表として取材。ユーザー代表の気持ちと、記者目線での取材成果を、記事中にたっぷりと活かしています。取材先でプレスマンユニオン取材班を見かけたら、ぜひ声をかけてください! 

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