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江戸城本丸跡(皇居東御苑)

皇居東御苑内の広々とした芝生が広がる場所は、江戸城の本丸跡。表御殿、中奥(なかおく)、大奥に分かれ、表御殿は、諸役人が執務する幕府行政の中心機関で、将軍の謁見なども行なわれた建物。最も格式の高い「大広間」は正月などに諸大名が参集する場所になっていました。有名な「松之大廊下」もここにありました。

明治時代には中央気象台が置かれました

現在は芝生の園地となっている江戸城本丸

本丸には政治行政機関の表御殿、将軍のプライベート空間である中奥、女性のみで構成された大奥がありました。

天守は、江戸時代初めの50年間だけ存在し、1657(明暦3)年に起こった明暦の大火(振り袖火事)の飛び火で本丸が全焼した際に、焼け落ちた後、再建されていません。

天守の代わりとなった三層の富士見櫓(現存)に近い本丸の南側に表御殿、天守台(天守が建っていた石垣=現存)に近い北側に大奥が位置していました。
本丸御殿(表御殿・中奥・大奥)も、明暦の大火以降でも2度焼失していますが、その都度再建され、幕末の1863(文久3)年の焼失時には、本丸の機能を西ノ丸御殿に移したため再建されず、明治維新を迎えたのです。

明治時代にはかなりの部分が焼け跡で、明治4年、正確な時間を知らせるために、本丸跡に午砲台(ドン)が設置され、昭和4年に廃止されるまで、「ドン」の愛称で東京府民に親しまれていました。

東京気象台(明治20年に中央気象台に改称し、昭和31年気象庁と改称)は、それまでの赤坂区溜池葵町(現在のホテルオークラ近く)から明治17年に江戸城本丸跡(麹町区代官町旧本丸跡)に移設。大正12年に麹町区元衛町(現在のKKRホテル東京)に移るまで、本丸跡には中央気象台が置かれていたのです。

本丸跡には、天体観測と緯度経度計測のための天測塔と気象観測の風力塔を兼ねたれんが造りの建物が建設されていました。
明治17年6月1日、東京気象台で毎日3回全国の天気予報の発表が始まっていて、天守台の堅牢な石垣は天文観測などにも絶好だったのです。
本丸跡には昭和30年代まで気象庁の官舎も建っていました。

大正初年の中央気象台がある江戸城本丸。天守台にも観測用の櫓が組まれています

本丸表御殿

将軍の謁見場と諸役人の執務の場。江戸幕府の政庁(最高執務機関)にあたります。
1.中雀門(ちゅうじゃくもん)=本丸表御殿の正門で、中雀門からが江戸城本丸となります
2.能舞台=公の儀式に能を上演
3.大広間=400畳の巨大な広間で儀式・公式行事を執り行なう場
4.松之廊下(松之大廊下)=『忠臣蔵』で有名な吉良上野介の殺傷事件が発生
5.柳之間=大名登城時の控の間
6.蘇鉄間(そてつのま)=大名登城時の供侍(ともざむらい)の待機場所
7.虎之間=本丸を警備する書院番の詰所
8.遠侍(とおさむらい)=御徒(おかち=お目通りできない将軍警備の下級武士)の詰所
9.目付衆御用所=旗本・御家人を監督する役人(目付衆)の執務所
10.帝鑑之間=大名登城時の詰所
11.白書院=公式行事用の部屋
12.菊之間=警備護衛役のトップである番頭の詰所
13.雁之間(かりのま)=大名登城時の詰所
14.芙蓉之間=勘定奉行、寺社奉行、町奉行の詰所
15.黒書院=公式行事用の部屋
16.御用部屋=老中・若年寄の詰所
17.台所=将軍の食事を用意。登城した大名は各藩邸から弁当が届きました
18.台所前三重櫓=表御殿台所前にあった三重櫓。石垣だけが現存し、本丸展望台となっています

本丸中奥(なかおく)

将軍の官邸。現在の首相官邸的な場所で、将軍の住居で、ここで歴代の将軍が書類に目を通すなどしていました。
19.地震之間(じなえのま)=いざという時のためにここだけは堅牢な耐震建築
20.御休息=将軍の寝室
21.湯殿=将軍の風呂
22.井呂裏之間(いろりのま)=将軍が従者と憩う場所
23.御座之間=将軍の日常生活の部屋
24.奥能舞台=将軍上覧の能の場
25.側用人の部屋=将軍の身のまわりの世話をする側用人の控部屋
26.奥坊主部屋=将軍に茶をいれたり、大名の接待役の坊主の部屋

本丸大奥(おおおく)

将軍私邸で、御台所(みだいどころ=将軍の正妻)を中心に、将軍の子、奥女中の生活の場。中奥とは仕切られており、御鈴廊下で結ばれていました。大御台所の生活エリアである大奥御殿向(おおおくごてんむき)、役所機能の御広敷(おひろしき)、奥女中の生活する長局向(ながつぼねむき)に分かれていました。

新座敷=将軍の母の住居
御殿=多くの部屋が置かれている部分
対面所=大奥に外部からやってくる客を接待する場
御座之間=将軍と御台所が対面するための部屋
御休息之間・御化粧之間=御台所の生活する部屋
長局(ながつぼね)=奥女中たちの部屋

楊洲周延『千代田之大奥』から「入浴」
楊洲周延『千代田之大奥』から「歌合」

古地図に見る江戸城本丸

江戸城本丸跡(皇居東御苑)
名称 江戸城本丸跡(皇居東御苑)/えどじょうほんまるあと(こうきょひがしぎょえん)
所在地 東京都千代田区千代田1-1
関連HP 宮内庁公式ホームページ
電車・バスで 東京メトロ東西線・都営三田線大手町駅から徒歩6分。東京メトロ東西線竹橋駅から徒歩10分、JR東京駅丸の内北口から徒歩11分
駐車場 なし/大手センターパーキング(185台/有料)などを周辺の有料駐車場を利用
問い合わせ 宮内庁 TEL:03-3213-1111
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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作成者: プレスマンユニオン編集部

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