リ・クリエイトとは複製画のこと。しかし単なるコピー(複製)ではなく、最先端の科学技術による調査を実施し、描かれた当時の色調、盗難で行方不明になった作品や損傷を受けた作品などを正確に再現するもの。つまり、この展覧会、バロック期を代表する画家・レンブラントの描いた作品を、描いた通りに再現するもの。美術ファン必見の展覧会です。
「光の魔術師」レンブラントの作品の真贋論争に終止符
レンブラント・ハルメンソーン・ファン・レイン(Rembrandt Harmenszoon van Rijn)は、バロック期に活躍したオランダの画家。大画面と、光と影の明暗を明確にする技法を得意とし、「光の魔術師」とも呼ばれています。
20世紀初頭、レンブラント作とされる作品は1000点以上にも及びましたが、作品の数が多いため、真贋論争も巻き起こります。
本格的なレンブラント調査を行なうため、1968年にはオランダの応用化学研究機構(Netherlands Organization for the Advancement of Scientific Research, TNO)が出資し美術史家たちが「レンブラント・リサーチ・プロジェクト」が結成。X線撮影によって下絵から書き進む段階を明瞭にして、贋作をあぶり出しました。
1992年に委員長に就任したエルンスト・ファン・デ・ウェテリンク氏(Ernst van de Wetering)は、他分野の専門家の協力を得て、最先端の科学技術による調査を実施。世界中のキュレーターも認める成果をもたらしています。
TOPの画像は、『フランス・バニング・コック隊長とウィレム・ファン・ラウテンブルフ副隊長の市民隊』(De compagnie van kapitein Frans Banning Cocq en luitenant Willem van Ruytenburgh)、油彩、1642年、アムステルダム国立博物館蔵。通常は『夜警』(De Nachtwacht)として知られるレンブラントの最高傑作です。
レンブラントの最高傑作『夜警』も欠けた部分を修復して再現!
レンブラントは、1640年末に火縄銃手組合が発注した複数の集団肖像画のうち、市の名士フランス・パニング・コック率いる部隊の絵を受注します。
独自の主題性と動きのある構図を用いて、1642年初頭にレンブラントの最高傑作とされる『夜警』(De Nachtwacht)が完成します。
注文された『夜警』は当初は組合会館(ニュウヘ・スタッドハイス)に掲げられましたが、1715年にアムステルダム市庁舎へと移される際に、 作品の上下左右が切り詰められてしまいます。
その結果、現在アムステルダム国立美術館で現在展示されている『夜警』からは、その名画の全貌を知ることはできません。
本展では 17世紀に描かれたヘリット・ルンデンス(Gerrit Lundens)による模写と数々の資料を元に、描かれた当初の『夜警』の姿を再現しています(会場の都合により、縦サイズを加工して展示)。
横浜・そごう美術館『レンブラント リ・クリエイト展 2016』 DATA
開催日 | 2016年7月30日(土)~9月4日(日)、期間中無休 |
関連HP | そごう美術館公式ホームページ |
所在地 | 横浜市西区高島2-18-1そごう横浜店6階 |
場所 | そごう美術館 |
電車・バスで | 横浜駅から徒歩3分 |
ドライブで | 首都高速道路横羽線東神奈川ランプから5分 |
駐車場 | そごうパーキング館(560台)/有料(そごう横浜店の利用で割引あり) |
問い合わせ | TEL:045-465-5515 |
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |