小石川後楽園

徳川御三家のひとつ、水戸藩初代藩主・徳川頼房が江戸上屋敷の庭園として造園を指示、水戸黄門で知られる2代藩主・徳川光圀が完成した、江戸初期の代表作的庭園。東京に残る江戸時代初期の大名庭園は、小石川後楽園と、旧芝離宮恩賜庭園のみ。浜離宮恩賜庭園同様に国の特別史跡と特別名勝の指定を受けている全国的にも希少な庭園です。

徳川光圀が完成させた江戸時代初期の大名庭園



初代藩主は伝統的な日本庭園を目指していたようですが、水戸黄門としてお馴染みの徳川光圀は儒学を重んじており、庭園の随所に中国の風物が折り込まれるように。そのため、明るい雰囲気の六義園と好対照となっています。

なかでも中国の名所「西湖の堤」を模した切石積みの石堤「西湖堤」や、中国伝来の様式である円月橋が有名。
庭の様式は回遊式築山泉水庭園で、蓬莱島と徳大寺石を配した大泉水を中心に湖、河、山、野という、4つの風景が楽しめます。
小石川台地の先端に位置するため、水は神田上水を引入れて築庭されています。

後楽園という名も、『岳陽楼記』の「(士はまさに)天下の憂いに先じて憂い、天下の楽しみに後れて楽しむ」から明の遺臣・朱舜水(朱之瑜)が選んだもの。

明治2年の版籍奉還で、水戸藩から新政府に移り、現在の東京ドーム敷地などとともに東京砲兵工廠の用地となりました。

春には入口近くにある枝垂れ桜が見事に咲き、秋の紅葉、早春を告げる2月の梅も見事。
また庭園北側には水田もあり、文京区内の小学生が田植えや稲刈りを行なっています。

庭園の見どころ
1 大泉水

琵琶湖を模したというのが大泉水。池には蓬莱島も浮かびます。

庭園の見どころ
2 枝垂れ桜

往時には庭園内に樹齢100年以上という枝垂れ桜の古木がありました。
現在の桜は2代目ですが樹齢60年を超す見事なものです。

庭園の見どころ
3 円月橋

明の儒学者・朱舜水が設計したと伝えられる石橋。水面に橋が映ると満月のように見えるのが名の由来。
現在、渡ることはできません。

庭園の見どころ
4 大堰川

川の景色を代表するのが大堰川(おおいがわ)。京都、嵐山を流れる大堰川を模した川で、往時は神田川の水を水車で汲み上げて流していました。

庭園の見どころ
5 小廬山

オカメザサでおおわれた築山が小廬山。中国の景勝地・廬山に似ていることから江戸の儒学者・林羅山が名づけたもの。

庭園の見どころ
6 得仁堂

徳川光圀が18歳の時、史記『伯夷列伝』を読み感銘を受け、儒教の聖人である伯夷(はくい)・叔斉(しゅくせい)の木像を安置した堂。
堂の名は孔子が伯夷・叔斉を評して「求仁得仁」と語ったことに由来します。

庭園の見どころ
7 季節の花が咲く

江戸切絵図に見る 水戸藩江戸上屋敷

 

小石川後楽園
名称 小石川後楽園/こいしかわこうらくえん
所在地 東京都文京区後楽1-6-6
関連HP 東京都公園協会公式ホームページ
電車・バスで JR・東京メトロ東西線・有楽町線・南北線・都営地下鉄大江戸線飯田橋駅から徒歩3分。東京メトロ丸ノ内線・南北線後楽園駅から徒歩10分
ドライブで 首都高速神田橋ランプから約3.5km
駐車場 周辺の有料駐車場を利用
問い合わせ 小石川後楽園サービスセンター TEL:03-3811-3015
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
小石川後楽園『花菖蒲を楽しむ』

小石川後楽園『花菖蒲を楽しむ』|文京区|2023

2019.06.04

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