広重の浮世絵に見る 赤坂・日枝神社(山王権現)

武蔵国の無量寿寺北院(現・川越市の喜多院)の住持だった天台宗の僧・天海は、家康の参謀となって活躍。3代将軍・家光治世の1624(寛永元)年には上野・忍岡に東叡山(東の比叡山)寛永寺を創建します。天台宗と徳川家の関係は家康以来、密接ですが、その比叡山と神仏習合だったのが山王権現だったのです。

歌川広重『東都三十六景 山王権現雪中(相ト版)』

東側正面の山王鳥居と石段(山王男坂)

当初、江戸城に祀られ、その後裏鬼門封じの赤坂に鎮座した山王権現。明治の神仏分離、廃仏毀釈で日枝神社となっていますが、江戸時代の呼称は、山王権現、あるいは赤坂山王が一般的です。


『東都三十六景』シリーズは幕末に活躍した2代目・広重の作品。幕末の江戸の名所36ヶ所をピックアップしています。1861(文久元)年頃の情景と推測できます。山王男坂の様子を描いたものです。山王男坂は、神社東側、東京メトロ溜池山王・国会議事堂前駅側からの登拝口で、ここがメインの参拝ルートです。

歌川広重『銀世界東十二景 赤坂山王』

井のかしら弁天雪中、湯しま天神雪のあくる日、浅草金竜山朝の雪、日本橋雪のあけぼの、真崎の大雪、お茶の水雪中の美人、新吉原雪の朝、隅田川両川岸一目の月、雪の朝州崎の日の出、外桜田雪あがりの朝、亀井戸天満宮境内一覧と、赤坂山王で江戸の雪景色を描いた『銀世界東十二景』。なぜか、赤坂山王のみストレートな地名のみとなっています。山王権現雪中とセットで楽しめる作品です。このシリーズ、人気らしく、東京となった明治29年にも松井栄吉(明治時代の浮世絵の版元)によって複製されています。

歌川広重『江戸名勝図会 山王』

初代の画風にならい、風景画を描いた2代目歌川広重の『江戸名勝図会』シリーズの一作。幕末の江戸の名勝や話題のスポットを取り上げています。山王男坂を上り、楼門(随神門=現・神門)をくぐった先の光景。「江戸第一の大社(おおやしろ)で、金殿玉楼(きんでんぎょくろう)の輝き」という解説がつけられています。

戦前の絵葉書に見る戦災で消失前の楼門(プレスマンユニオン絵葉書コレクション)

歌川広重・豊国『江戸自慢三十六興 日吉山王祭り子』(平のや版)


徳川家の産土神(うぶすながみ)とされた日吉山王権現。江戸時代、旧暦6月15日の例祭『山王祭』は、御用祭、天下祭ともいわれました。

江戸切絵図に見る山王権現(日枝神社)

神仏混淆時代を反映して周辺を寺が取り囲んでいます

日枝神社
名称 日枝神社/ひえじんじゃ
所在地 東京都千代田区永田町2-10-5
関連HP 日枝神社公式ホームページ
電車・バスで 東京メトロ銀座線・丸ノ内線赤坂見附駅から徒歩7分
ドライブで 首都高速霞が関ランプから約800m
駐車場 50台/無料(参拝の場合のみ利用可)
問い合わせ 日枝神社 TEL:03-3581-2471/FAX:03-3581-2077
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

日枝神社

2017.01.09

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